中古物件には欠かせない?「ホームインスペクション」って何?
2018年4月以来、中古物件の売買において「ホームインスペクションの説明・告知」、もしくは「ホームインスペクションを行う業者の斡旋や紹介をし、購入検討者に対して利用の意思を確認する」ことが、正式に「義務」づけられました。(宅地建物取引業法の改正)
しかし、まだまだ日が浅いために、買主・売主・不動産会社の3者がそれぞれ制度に慣れず、余計な「苦手意識」を持ってしまっている印象すらあります。
今回の特集は、そんな「ホームインスペクション」を今一度おさらいし、理解を深めることでより良い取引ができるようにいくつかお話していきましょう。
「ホームインスペクション」ってどういうもの?
こういった専門用語が登場した場合、当ブログではいつも「単語の意味を考えることで内容を導き出す」スタイルを採っていますが、今回もまずは「ホーム」と「インスペクション」に単語を細分化していく所から始めましょうか。
ただ、誰がどう見ても「ホーム」はすぐにわかりますよね?
しかし、あまりなじみのない「インスペクション」とはどういう意味でしょうか?
この「インスペクション」、日本語では主に「調査・検査・査察」などと訳されますが、不動産取引においては「診断」という訳し方をしています。
これにはきちんとした理由があり、基本的に「診断」は医学の分野で使われる言葉なのですが、慣用句的な使い方として「専門家により、物事に欠陥があるか調べること」という意味に転じて使われる言葉でもあるのです。
この二つの意味を総合すると「住まい・建物に対し、その道の専門家によって欠陥があるかどうか調べること」が「ホームインスペクション」なんですね。
ということは、今回の「義務化」は買い手にとってメリットだらけとも思えますが、果たして本当にそうでしょうか?
実は、今回の「義務化」以降、また困った問題が出てきてしまっているのですが(それについては次のセクションでご紹介します)、とりあえず「ホームインスペクション」がどういったものであるかを頭に入れておきましょう!
購入者から見た「ホームインスペクション」のメリット・デメリット
では、皆さん「物件の購入希望者・検討者」にとって、今後この「ホームインスペクションの義務化」はどう働くのでしょうか?
そこに焦点を当てる前に、現状で考えられる「ホームインスペクション」のメリット・デメリットをそれぞれご紹介していきましょう。
まずはメリットから。
・購入検討物件に対して、明確な「専門家による評価」が加わる
(検討材料が増える)
・購入物件に対して、より「安心感」が生まれる
・瑕疵があった場合、それに対する費用や負担も踏まえて購入判断ができる
・問題があった場合、購入を回避することができる
これまでは、購入後・入居後でなければ「住んでみないとわからないような瑕疵」を発見することはできなかったのですが、今回の義務化によって「それらを回避できる可能性」が増したことが一番の恩恵であるといえますね。
(もしくはそれに伴った「付加価値」の部分)
ただ、これらのメリットはあくまで「購入者側から見たメリット」に過ぎません。
どういうことかというと、今回の「ホームインスペクションの義務化」においては、購入者だけでなく売主(個人)や不動産会社(売主・または仲介)にもそれぞれメリットが生じているのです。
例えば、あなたが売主で、中古物件を売りに出している立場だと考えてみてください。
自らの物件のアピールポイントとして「ホームインスペクション実施済~瑕疵がない物件」という点はかなり大きいでしょう。
もちろん「より物件が売りやすくなる」ことは言うまでもないでしょうね。
ただ、単純に「良い所ばかりではない」のが制度や人間の怖い部分です。
再び購入者の立場からデメリットを挙げていくと…。
・インスペクション実施中に先に購入されてしまう可能性がある
・不動産会社に斡旋・紹介され、診断を実施する場合、費用を負担しなければならない
・インスペクションの実施により、その物件をあきらめざるを得ない場合がある(これは本来は「メリット」ですが)
・売主や不動産会社が斡旋・依頼した場合「買主に重要な部分が報告されない」事例が出てきてしまっている
ここで驚いた方も少なくないでしょう。
それぐらい「最後の項目」はインパクトが強く、恐ろしいものですよね?
残念ながら、そのような売主さんや不動産会社も「実際に存在」するのですが、次のセクションでは「購入者の立場から見た傾向と対策」をご紹介します。
購入者から見た「ホームインスペクション」の傾向と対策
まずは、先ほどの「最後の項目」のような事例がどうして起こるのか?を考える所から始めましょう!
・売主の立場から見ると
「自身が売りに出している物件が、より早く好条件で売れてほしい」
少し考えれば、売主の考えは見抜くことができるはずです。
しかし、結局の所、住み始めてから瑕疵が見つかってしまったら、場合によっては売主がその責を負うことになるので、本末転倒の感は否めませんが。
・不動産会社の立場から見ると
より見抜くのが難しいのはこちらの立場においてでしょう。
ただ、彼らからすれば「売買が成立しなければ報酬が得られない」立場ですので「隠して販売してしまえば良い」という考えからこのような事態を起こすこともあり得ますね。
さらに「利用の意思を確認する」立場であることから、言葉巧みに「ホームインスペクションを利用しない」方向に誘導することだってできるわけです。
しかも、今までであれば「建築や建物」に関しての専門知識なしに業務を進めることができたのですが、制度実施以降、よりこなさなければいけない業務は増え、勉強しなければいけない項目も増えているのは覚えておいてください。
・斡旋・紹介される「ホームインスペクター」の立場から見ると
最も怖いのは、この制度のカギとなる「ホームインスペクター」の立場からすると「より多くの仕事を振ってくれる不動産会社へ忖度すべき」と考えてしまい、購入希望者にとって最悪の事態を起こすケースでしょう。
こうなるとまさにお手上げ、購入者の立場からはどうすることもできないのでしょうか?
・購入希望者から見た「ホームインスペクション」対策
実は、ひとつだけ、このような意味のない「ホームインスペクション」に対する方法があるんです。
それは「購入者自身が住まいの安全性に関する正しい知識を持ち、インスペクション実施の際には必ず同席する」ことです。
(検討中の物件がすでに実施済みである場合は、その診断結果に不備があると思ったら「物件を躊躇なくあきらめる勇気」が必要となるでしょう)
あまりにも当たり前すぎてビックリしたかも知れませんが、大切なことは「人任せにしないこと」に尽きます。
いかに不動産会社が仲介をしてくれるとは言え、その物件を購入するか否かはあくまで「購入者自身が決めること」。
あなた自身や家族が快適に、安全に暮らすための「我が家」の購入なのですから、気になる部分はしっかり調べて、わからないことや専門的なことは十分に説明を受け、理解してから購入を決定しましょう。
さて、最後のセクションは、始まったばかりのこの制度の今後を一緒に考えていきましょうか。
まだまだ黎明期、「ホームインスペクション」で今後どうなる?
さて、「ホームインスペクション」が、必ずしもメリットだけではないことがお分かりいただけたかと思いますが、この制度を踏まえた上で、今後の「不動産購入」はどのように変わっていくのでしょうか?
まず考えられるのは「今後、ホームインスペクションを行う業者がより増えていく」という点です。
今回の義務化以前にも、これらの業者は少なからずいましたが、今後は需要がさらに高まることが確実ですので、より増えるのは必然だと思われます。
もうひとつ、確実な部分が「物件を売りに出す際に検討しなければならない部分が増え、全体的に売れるまでの期間が長期化する」という所でしょう。
しかし、このような制度は基本的に「改良」であることに変わりなく、購入者の立場でいえば「賢く利用すべきサービスの選択肢」なのは間違いありません。
これから不動産購入を考えている方は、最高の「我が家」を手にするためにも「ホームインスペクション」に関する正しい知識を身に付けてくださいね?(もちろん仲介手数料無料のおうち不動産㈱にもお気軽にご相談ください)
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