強度を左右するマンション躯体(くたい)・構造とは?
今回よりスタッフブログでは、地震や災害対策だけでなく、多くの人が注目しているマンションの「躯体(くたい)」または「構造」について、詳しく解説します。
「構造」はともかくとして、一言で「躯体」といっても、よく分からないと思う方もいらっしゃるでしょうが、ごくごく簡単に言い換えれば「建築物の骨組み」のことです。
特に中古マンションの場合、かなり重要な情報にも関わらず、物件情報などの記載でしか判断できない部分でもあり、可能であれば物件を検討する段階で把握しておきたい知識でもあります。
専門的な用語が複数出てくる上に、なかなか覚えられないという方もいらっしゃるはずですので、時期に関わらず「いつでも使える知識」、いわゆるリファレンス記事として分かりやすく解説して行ければと考えています。
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主な『マンション躯体・構造』はこちらの4種類
まず、一般的なマンション建設で用いられる『躯体・構造』は、大まかに言えば「4種類に分けられる」と覚えてください。
ただし、ここで言う『構造』とは、『躯体』と同様にあくまで「建物の重量や加わる揺れ、衝撃をどのように支えているのか?」という所に重きを置いているため、いわゆる「タワー型マンション」のような「外見的な形状」とは異なりますのでご注意を。
以下に4種類それぞれの概要をまとめてみました。
・躯体 2種類
【RC造(鉄筋コンクリートづくり)】
RC造の基本形状
「押される力には非常に強いが、引っぱられる力に弱い」というコンクリートと、「押されると簡単に曲がってしまうが、引っぱられる力にはめっぽう強い」という鉄筋を組み合わせ「押す力にも引っぱられる力にも強い」という特性を手に入れたのがこの「RC造」です。
マンションでは最も多く用いられている躯体であり、建築コストも一般的な価格となりますが、近年では「より強度の高いコンクリート材」を使用することで、後述の「SRC造」に迫る強度を誇るものもあります。
【SRC造(鉄骨鉄筋コンクリートづくり)】
SRC造の基本形状
「鉄筋+コンクリート」の躯体に、さらに「鉄骨」を加えたもので、非常に優れた強度(RCに「粘り強さ」を加えた特性)を持つため、地震対策の一環として「9階以上の高層マンション」に用いられることも多くなっています。
(タワーマンションにも以前はよく使われていました)
特性上、より高精度の資材が多く必要となるため、建築コストや販売価格に与える影響力も強く、SRC造を採用しているマンションは必ずと言っていいほど「販売価格が水準よりも高め」に設定されています。
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・構造 2種類
【壁式構造】
壁式構造の基本形状
ごく一般的なマンション、主に中~低層の物件に多く用いられる「壁や床、天井や間仕切り壁などの『面』によって建物全体を支えるスタイル」を『壁式構造』と呼んでいます。
基本的に、かなり強固な構造ではあるのですが、窓や出入り口などの「開口部」を設けるために、強度をある程度犠牲にしなければならず、強度とのバランスを考えると、あまり自由なレイアウト・間取りを採用することが難しくなります。
【ラーメン構造】
ラーメン構造の基本形状
ユニークな「ラーメン」という言葉に惑わされがちですが、この「ラーメン」とはドイツ語で「額縁」を指しており、「柱や梁(はり)によって建物全体を支えるスタイル(この様子を「額縁」に見立てている)」が『ラーメン構造』です。
おそらく、現在のマンションでは最もポピュラーな構造であり、前述した「RC、またはSRC造」の違いが分かりやすい構造であると言えます。
RCとSRCの違いは「住みやすさ」にも直結する?
では、実際にRC造とSRC造ではどのような点が異なるのでしょうか?
以下にまとめてみました。
【より耐震性に優れ、コンパクトな建物が実現できるSRC造】
剛性に優れたRC造に、さらに「芯材」となる鉄骨が加わった構造となるSRC造は、強固なだけでなく「粘り強さ」が加わることで一歩上の耐震性を得ています。
ただその粘り強さ故に、地震が起きた場合は「建物が大きく揺れやすくなる」という傾向にあるため、当ブログ過去回でもご紹介した「免震・制震構造」を採用しているマンションも多くあるようです。
そして、その頑丈さ故に「建物内のレイアウト面などで、RC造よりも自由度が狭まる」という弱点があり、一般的な形状を取らざるを得ず、凝った間取りなどが実現しにくくなるようです。
【RC造は遮音性や気密性に優れるが高重量となりやすい】
逆に、SRC造に比べると「コンクリート材を使用する比率が高くなる」RC造では、その特性も「コンクリート材の性格」が強くなる傾向にあります。
例を挙げるなら、コンクリート成分が多いことで振動しにくくなるため、遮音性が向上したり、空気を通しにくくなるため気密性に優れたり、となるわけです。
ただ、物にもよりますが、コンクリート成分が多くなることで単純に「建物全体が高重量になる」傾向にあるため、元々地盤が弱い地域との相性はあまり良くないという意見も多く聞かれます。
【耐用年数や省エネ効果では互角、技術の進歩によりRC造がやや有利?】
近年では、RC造の技術がさらに高くなっているということもあり、コスト面などの理由から、全体的にみるとRC造の方が建物やマンションに広く採用されているようです。
よくよく考えてみると「SRCもRCのバリエーションのひとつ」であるため、耐用年数や省エネ効果だけでなく、さまざまな部分で似通ってくるのは当然ですし、最終的には「純粋な採用数でRC造の方が多くなる」のも当たり前かもしれません。
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広く普及する『ラーメン構造』の弱点とは?
続いては、中高層マンションなどで多く採用されている『ラーメン構造』の弱点について解説していきましょう。
いくつか例を挙げてみましょう。
【室内に柱や梁の形状が出やすくなる】
ラーメン構造では、建物の骨組みとなる「柱や梁」の存在が不可欠になりますが、場合によってはマンションの間取りやレイアウトの関係で、室内に「柱や梁」の影響が出やすくなります。
あれだけ大きな建物になれば、その影響も大きいはずですので、明確に「弱点と言えるポイント」ではないでしょうか?
【面ではなく線で建物を支えるため、音が響きやすくなる】
ごぞんじの方も多いように「音とは空気中を伝わる振動」であるため、建物全体が「振動しやすい、または振動を伝えやすい状況」であるならば、そのまま音が響きやすくなります。
また、何もない「空間(要は「空気」です)」も振動を伝えやすい環境ですので、建物内の「空間」が大きくなりがちな『ラーメン構造』は必然的に『他に比べ音が響きやすくなる構造』であるといえます。
『ラーメン構造』+『壁式構造』?『耐力壁付きラーメン構造』とは?
今回ご紹介している『ラーメン構造』と『壁式構造』ですが、実はそのふたつの良い所だけを組み合わせたような『耐力壁付きラーメン構造』というハイブリッドタイプも存在しています。
・強度面では全く申し分なし!弱点もカバーできる
ふたつの構造を合わせた『耐力壁付きラーメン構造』は、柱や梁だけでなく壁も建物全体を支える一部となります。
また、建物の目的や設計の意図に応じて、両者の優れた特性をバランス良く配置していけるので、例を挙げるなら『あまり柱や梁の形状を室内に出すことなく、建物の強度を得る』ということも可能になるわけです。
・ただしコスト・重量は…
こんな万能そうに見える『耐力壁付きラーメン構造』ですが、それでも弱点がないわけではありません。
単純に『ラーメン構造』+『壁式構造』の図式であるため、構造自体の重量や建築コストもそのまま足し算となってしまうのです。
もちろん、高額な建築コストはそのまま販売価格へ反映されるでしょう。
また、建物の強度は十二分に確保できるはずですが、その重量に耐えられるほどの『強い地盤を持つ土地』でなければ、せっかく増した強度も宝の持ち腐れになってしまうことでしょう。
さて、今回のお話、皆さんいかがでしたか?
これからマンションを購入したいとお考えの皆さん。
当記事をお読みいただき、興味の湧いた方は「おうち不動産」まで、お気軽にご相談ください。
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(2024年11月追記)